ユネスコスクールに加盟する本校では、例年、高2で「JICA講演会」を実施しています。
今年度はJICA職員の奥村氏と元青年海外協力隊の長井氏が講演してくださいました。
奥村氏は本校の卒業生でもあり、中高時代のご自身の学校生活やJICAでの経験を踏まえたお話をしてくださいました。また長井氏は、4年前に当時の中3が学年企画で取り組んだ「マラウイとのSDGs共同宣言」プロジェクトを現地の青年海外協力隊として支援してくださいました。長井氏は当時のプロジェクトにも触れながら、国際協力のあり方や心構えを熱心に語ってくださいました。両者の講演を通して、生徒たちも国際協力や本校の教育目標である「ノーブレス オブリージュ」の精神の重要性を改めて感じることができたのではないでしょうか。
講演後の質疑応答でも、生徒たちからの質問に丁寧にお答えいただきました。
以下、生徒の感想を一部ご紹介します。
生徒の感想(一部抜粋)
・⽇本は物質的には豊かであるが、それは本当の「豊かさ」なのかという⻑井さんの問いかけにはっとさせられた。⾃分たちを「先進国」と捉え、「発展途上国」の⼈々を助けてあげなければという意識を持っている時点で豊かな状態などとは⾔えず、世界中の⼈々とどう共⽣していくかを考え、実践していくことが本当の豊かさに繋がるのではないかと考えた。奥村さんのお話にあった、まず⾏動してみることで視点や考え⽅も変わるということも印象に残った。⾃分には何ができるのかを考えることに⼒を注ぐことも重要であるとは思うが、⾏動する中で⾒えてくる課題や新たな気づきもある。だからこそ、⾏動するというステップに⽐較的早い段階で⼊ることも必要になってくるのだと思う。
・世界の国々ではそれぞれの文化があり、生きていく上での「豊かさ」もそれぞれだと思う。また、その豊かさを1番理解しているのは現地の人である。そのため、彼らの主体性を尊重し、互いの文化や違いを理解する必要がある。「支援してあげる側」「支援される側」という意識は捨てて、対等な関係を築かなくてはならない。さらに、発展した技術や道具がないからこそ生まれる新しいアイデアは、私たちも学ぶべきものである。また、彼らの内には可能性が秘められていると思う。その可能性を地球の未来のために活かしていくことが結果的に私たちにも利益をもたらすのではないか。そのため、彼らを支援するのではなく、互いが学び合えるような関係性が築けたらより良い世界になるはずである。私たちができるのは、彼らの可能性が発揮されるようなチャンスを与えることであり、もし彼らが困っていたら一緒になって解決することである。
・長井さんの講演では、自己満足の危険さを実感した。たしかに、困っている人を助 けることは良いことである。しかしそれが行き過ぎると、「助けること」自体が目的となり、その先の「相手を幸せにする」という目的を見失いかねない。私も、現金や食料の寄付をしたことがあるが、それを支援先の人がどう思うかまでは、深く考えられていなかった。長井さんがおっしゃっていた通り、真の意味での支援は、 時には相手の力も信じて、一緒に目標へ進んでいくことである。自分の気分が良くなって終わりではなく、相手にとっての幸せとは何かを追究することが必要である と考えた。 また、奥村さんの講演では、視野を広げることの大切さを再認識した。今まで社会科の授業等で、世界の現状については知っているつもりでいた。しかし、各国で起 こっている問題を講演内で見て、自分の知識の浅さを思い知った。私は今まで、授業で習ったらそこで満足することが多かった。これからは、授業内で満足せずに、 自分からさらに深く掘り下げていきたいと考えた。