先日、高校1年生が、自身の将来についての「決意表明」発表会を行いました。この「決意表明」では、進学したい大学の学部や、大学卒業後に行いたいこと、そして自分が大切にしたい価値観など、自身の将来について発表していきます。
「決意表明」は、中学3年間で生徒たちが経験してきた「進路」に関する学びの一つのまとめであり、例年は、進路合宿(4月)で実施しています。しかし、今年は、COVID-19感染拡大の影響で進路合宿が中止となったため、9月に行うことになったのです。
ここで、現高校1年生が自身の将来について考えるためのヒントとした、「進路」に関する学びを紹介します。
中学1年生では、学校内で職業体験学習を行い、自身の職業観を広げました(職業体験学習の詳細はこちら)。
中学2年生では、調布調べ学習を行い、「地域」という視点に立って歴史や地形、人々の生活について考えました(調布調べ学習の詳細はこちら)。
さらに中学3年生では、マタピラ小学校(アフリカ・マラウイ共和国)と交流し「SDGsに関する共同宣言」を作成するプロジェクトを行いました。このことを通じて、多くの生徒が国際的な課題をより深く考え、そして「自分事」ととして捉えるようになりました(SDGs共同宣言プロジェクトについての新聞記事はこちら)。
これに加えて、オープンキャンパス、ボランティア活動、学部学科調べ、卒業論文作成、SDGsやカトリック的な視点に立った講演会、など様々な学びを行ってきました。
さらに、高校1年生では、『La vie heureuse』を読み込みました。
これは、晃華学園の卒業生たちが、自身の仕事の内容や、働く上で大切にしている価値観などについて書いている冊子です。生徒たちは、ここに書かれている卒業生の姿をモデルとして、自身の将来について考えました(※『La vie heureuse』は「幸福な人生」という意味)。
以上のような、職業・社会・学問・大学・人生など、広い意味での「進路」についての学びを踏まえ、生徒たちは「決意表明」を準備していきます。この時、「決意表明」を行う手引き書である「Life Guidance Book」というワークブックを利用していきます。
いよいよ「決意表明」発表会当日。緊張感があふれるクラス。発表原稿を何度も見返しながら、最終確認をする生徒たち。発表会が始まると、瞬く間に過ぎる時間。
当たり前ですが、一人一人の「決意表明」は千差万別。しかし、その一つ一つが真剣に考え抜かれたもので、素晴らしく、そして尊く。
教員はもちろん、生徒たちも感動し、各発表が終わる度、教室は大きな拍手で包まれました。
生徒のふりかえりをいくつか紹介します。
決意表明に向けた準備が自分の人生を考えるきっかけとなった様です。
「決意表明やその準備を通して、初めて自分について真剣に考えることが出来ました。」
日ごろ他愛のない話をしている友人が、将来について真剣に語る姿は、刺激的であったようです。
「学校生活上で見ているクラスメイトの姿とは違った内面的なものが見えて、とても面白かった。」
「普段友達として話しているだけでは分からない部分が多く見え、人それぞれ自分なりに考えているということが分かりました。」
「今の思いが驚く程伝わってきて、クラスメイトは尊敬するべき人達なのだと感じました。」
自分の将来を決定する「何か」が、日常にあることに気が付いた生徒も多かったようです。今後の高校生活でも、その「何か」を探してアンテナを張ってくれることでしょう。
「まず全員が、しっかりとした将来像や具体的な職業などを語っていて、本当にすごいと思った。また、普段の何気ないことや幼い頃の記憶から自分の将来像について考えている人が多く、自分の未来を創るきっかけとなることは、自身の周りにたくさん転がっているのだなと思った。」
また、友人の発表を聞いて、「人の役に立つ」という言葉の意味を考えた生徒も多くいました。
「多くの人が『人の役に立てる人』などと、似た言葉を用いていたが、1人1人込められている思いが異なっていて面白かった。」
「人の役に立ちたい、人のためになることがしたいという希望を持っている人が多かった中で、それぞれ少しずつ考え方や理想が違っていてすごくおもしろく感じました。社会や環境問題を考える人、教育に携わる人、国際的なことに興味がある人、医学の道を目指す人。」
さらに、友人の発表が自身の将来を深く考え、自分の意志を確かなものにする、きっかけにもなったようです。
「多くの人が、文系、理系を分析して深く考えていたのが印象に残った。絶対に自分は理系だと思ってそこまで深く考えていなかったけれど、理系に行くにしても、文系で学べることや理系に進んだら出来ないことなどを考え直すことが、これから必要だと思った。」
「クラスの人の発表を聞いて、自分の夢をさらにはっきり見出すことが出来、強い意志を持つことが出来ました。同じ学年、同じクラスの友人が将来の夢に向かって努力する姿を見て、自分も頑張ろう、今から出来ることをやろうと思いました。」
卒業後のことが見えて、感慨深げな生徒もいました。
「現在、晃華学園で同じクラスに属しているけれど、皆、自分の道に行き、社会の役に立つためにバラバラと散っていく未来が見えたような気がして、なんだか寂しいようなうれしいような、不思議な感覚に陥る時間でした。」
今回の決意表明は中学3年間のゴールであり、高校生活の始まりでもあります。ひとまず出来た自分の進むべき道の続きを、生徒はこれからも作り続けていきます。道づくりは永遠に続きます。