「レストランで、メニューの最初のページだけを見て注文を決めますか?」
中学1年生の「職業に関する学習」は、この問いかけから始まりました。当然、ほとんどの生徒たちの答えは「全体を見てから決める」というものでした。

そもそも、私たちはどれくらいの職業は知っているでしょうか?
世の中に約1万8千種類もの職業があることを伝えると、生徒たちは驚きを隠せません。そして、知っているわずかな職業の中から将来を選ぶことは、レストランで最初のメニューのうち数点だけを見て注文を決めるのと同じです。
晃華学園では、中学1年生という早い段階から、身近な日常に隠れた職業に目を向け、広い視野で人生を考える「ライフガイダンス」を大切にしています。
日常を支える「見えない手」に触れる ―― 校内職業体験
生徒たちは2学期、学校生活を支えている清掃、バス・構内警備、管理の仕事を実際に体験しました。




毎日当たり前のように過ごしている環境が、実は細やかな気配りによって保たれていることを、自らの手で作業をすることで学びました。 実習後の「職業体験新聞」には、生徒たちの等身大の気づきが綴られています。

「用務の方々が授業中に音を立てないように工夫したり、私たちのことを考えてくれていることに気がついた」「警備員さん達が、私達が帰った後も仕事をしていることが分かった」。 普段意識していなかった方々が、自分たち生徒のために苦労・努力をしていることを知ることで、生徒たちの視点は、自分中心の日常から「他者に支えられている自分」へと広がっていきました。

感謝を形にする ―― クリスマスカードの作成
職業体験を経て、校内では清掃や警備の方々へ「ありがとうございます」と自発的に挨拶をする生徒が増えました。晃華学園が大切にする「ノーブレス オブリージュ」の精神は、こうした身近な感謝から始まります。 2学期の締めくくりには、感謝の気持ちを込めてクリスマスカードを作成しました。


飛び出す仕掛けを作るなど、一人ひとりが工夫を凝らしたカードを、お世話になった方々へ直接手渡しました。「もらう」だけではなく、自らの手で感謝を「届ける」クリスマス。生徒たちは、他者のために時間を使う喜びを実感したようです。
学びを統合し、共通点を見出す ―― 職業レポートとプレゼンテーション
冬休みには、この体験をさらに深めるレポート課題に取り組みました。夏休みに行った「身近な方への職業インタビュー」と、2学期の「校内職業体験」を比較・考察するものです。 生徒たちは、一見異なる職業の中に共通する本質を見出していきました。「体験した職業も、親戚の仕事も“自分のため”ではなく“誰かのために”という共通点がある」「両者に共通するのは利他主義だ」。

1月に行われた代表生徒によるプレゼンテーションでは、生徒たちは自らの考えを堂々と発表しました。身近な仕事と家族の仕事が、同じ「社会への貢献」という糸で繋がっていることに気づいた彼女たちの表情には、深い納得感が溢れていました。
結びに ―― 価値観を育む6年間の始まり
中学1年生で行われたこの一連の学びは、単なる知識の習得ではなく、人生において何を大切にしたいかという「価値観」を育むためのものです。 「身近なところにも大切な仕事がある」というアンテナを立てた生徒たちは、これから6年間の生活を通じ、自分らしい生き方を模索していきます。他者に支えられていることに気づき、感謝し、やがて自らが社会を支える存在へ。晃華学園のライフガイダンスは、豊かな人間性を礎とした進路選択を、これからも支え続けます。