2019年度

【コラボ授業】中1地理×高2世界史B「みんぱっく」を通してムスリムの暮らしを体験する

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投稿日2019/12/7

昨年に引き続き、社会科では「みんぱっく~世界のムスリムのくらし~」を国立民族学博物館よりお借りして、授業で活用しました。(昨年度の様子はこちら)(https://jhs.kokagakuen.ac.jp/2018/11/20/23892/) (https://jhs.kokagakuen.ac.jp/2018/11/27/23898/) (https://www.minpaku.ac.jp/research/sc/teacher/minpack/case/kokagakuen)

昨年は、中1と高2それぞれのクラスでみんぱっくを体験しましたが、今年は新しい試みとして、高校生がグッズの内容をポスターにまとめ、それを中1に説明しながら紹介するという学年間コラボ授業を行いました。

ポスターは授業時間を使って2人1組で作成し、内容を2分程度で説明できるように練習します。
中学生にもわかりやすい説明を心がけ、見る人を惹きつけるポスターが数多く完成しました。

中1でも、事前にムスリムのくらしや生活の決まりについて事前講義を行いました。
これまでに扱った三大宗教や、西アジアについての内容でもイスラム教について学んだので、生徒たちの理解もスムーズです。

そして、いよいよポスターセッションに臨みます。

中学生にとって、高校生の先輩は憧れの存在。その先輩方が製作したわかりやすいポスターや、発表での話し方、調べた内容のまとめ方など、中学生には参考になる場面がたくさんありました。

高校生の生徒たちも、授業内でまとめたポスター以外に、自主的に写真を印刷して持ってきたり、実際にグッズを使用して実演してみたり、みんぱっくの説明カードには載っていない情報を自分たちで調べて紹介してくれたりと、とてもわかりやすいプレゼンを行ってくれました。

今回の学年間コラボ授業では、普段のように教員が生徒たちに講義する方法ではなく、生徒同士での発表だったので、中学生も興味津々で発表に聞き入っており、積極的に質問をする姿もみられました。

以下、今回の授業を受けての生徒たちのふりかえりを紹介します。

中1

「はじめはムスリムの人々は決まりを守っていて偉いと思っていたけど、高2の先輩方の発表を聞いて、ムスリムの人々は決まりではなく自分の価値を高めるためにやっていることであって、やらされているという感覚ではないことがわかった。なので、礼拝のためのグッズなど工夫してつくられたものが沢山あって、自分はムスリムだという誇りがあるのだと思った。」

「以前は厳しいきまりに可哀相だと感じていたが、きまりにもきちんとした理由があり、みなそれを守っていることはすごいと思った。また、「ムスリムだから」という固定概念をなくし、沢山の人とふれあっていきたいと思う。」

「女性の被るベールには本当に色々な種類があることが分かりました。また、ハラーム食は、豚製品やアルコールだけでなく、加工品やバニラエッセンスも食べられないことを知りました。イギリスでは、ムスリムへの差別もあるそうなので、食べ物などから少しずつ、他民族同士が歩み寄っていけたら良いと思います。」

「発表の中で一番多かったのが、女性の服装についてでした。ですが、テーマは同じでもそれぞれ違うところに視点をおいて説明していたので、女性の服装について色々なことを知れました。また、男性の服装についても知りたいと思いました。そして、見たこともないようなものでも先輩方のわかりやすい説明で今までの学習とつなげて考えることができました。」

高2

「今回、他の人の発表を聞いて改めてムスリムの行うしきたりや使うものには、それぞれ意味のあることなのだとわかり、その背景には世界史で学ぶ各地域の歴史や文化が深く関わっていると考えた。私は、世界史を学ぶことで自分と異なる文化圏の人々がどういった生活をしていて、それがいかに重要であるかということを理解できるようになると思う。そのうえで、それぞれの文化が等しく大切であるという意識のもと、エスカレーターの場所を示すのと同じようにムスリムの祈祷室の場所を示したり、アレルギー品目を記載するのと同じように食品のパッケージにハラール向けかどうかのマークを記載したりするといった、一つずつの文化を隔てることなく必要な情報を生活に組み込んでいくことがムスリムとの「多文化共生」の方法の一つであると考えた。」

「世界史を学ぶことは一つの物事を自分のみの基準ではなく、多くの様々な基準や視点から見るという方法で多文化共生を促すと考える。前述の「一つの物事」をムスリムだとすると、世界史を学ぶことで、自分の住む日本からだけでなく、他の国から見たムスリムを知ることができると思う。例えばムスリムが国民の大多数を占める国や、他の宗教とイスラームが同じくらい広まった国などの視点からムスリムを理解できるだろう。」

異なる学年同士での学びあいができるのも、一貫校の晃華学園ならではの取り組みです。

今回の学びを通して、生徒たちがさらに、多文化共生の世界の中で、人のために共に生きる力を身につけてくれることを願っています。

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