2018年度

中学2年生 ハンナのかばん

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投稿日2019/2/8

晃華学園では毎年、ホロコースト教育資料センターの方をお呼びして、ホロコースト教育講演会を実施しています。

この講演会は、アウシュビッツ強制収容所で13年の生涯を終えた、ハンナ・ブレイディという少女のかばんを手掛かりに、ホロコースト、そして「人間」に対する理解を深めていく講演会です。

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日本人とは何か?
「非日本人」がいるとすれば、日本人とどうやって線が引かれているのか?
そもそも、人と人との「線引き」とは何か?

「人種」と「線引き」に関する問いを講演会の導入にして、ハンナの日常が語られていきます。彼女が生きたのは20世紀。第一次世界大戦後です。当時のドイツの社会経済の概要から、ナチスの台頭、そしてホロコーストへと話題は移っていきます。

生徒たちに対して、問いが投げかけられます。

アウシュビッツ強制収容所にユダヤ人を運ぶ列車の運転手は、何を考えていたのか?
列車の時刻表を作る人は何を考えていたのか?

ヒトラーやナチスのみの責任とするのではなく、民衆に関する視点で考えることで、「世界史上最大の悪」とも評されるホロコーストを、生徒たちは「自分事」として捉えていきます。

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生徒のふりかえりを紹介します。

アウシュビッツにユダヤ人を送る運転手さんや時刻表を作った人など、たくさんの人が殺してしまうことに関わっていたというお話はとても印象に残りました。もし自分がそういう立場だったらと考えると、きっと目をそらしてしまうだろうなと思ったからです。

ホロコーストの授業を学んで、一番私が思ったことは無関心であること、人に流されて自分の意見を持たないことが、何より一番恐ろしく悪いものであるということです。スライドに出された人々の群れが、同じ方向に向かって手を挙げている写真を見て恐怖を感じました。『自分はユダヤ人ではないから大丈夫。他の人や偉い人が悪いといっているからあの人たちが悪いのだ』と、確かな根拠すらないのにそう決めつけて信じてしまっている人がいかに多かったかを思い知らされました。人間の一番の弱みである他人への同調性、協調性がホロコーストを生み出してしまったのだと私は思いました。

難民やISなどの国際的問題を知った上で今回の講演に参加して、ホロコーストと現代の問題との共通点を学びました。それは、人が自分とは違うものを受け入れることができないという心の弱さです。

人々の思い込みの怖さを感じました。普段、当たり前だと信じていることが、一部の人々を追い詰め、苦しめてしまうということを、ユダヤ人であるハンナや、ハンナの家族から学ぶことができました。自分が信じ込むことで、誰かが傷ついたり苦しんだりするのではないか、これは本当の情報なのだろうかということを、想像力をよく働かせて考え、私たち一人一人が考えていくことが、世界中の平和につながるのではないかと私は思いました。

カバンをあけたとき、その場にハンナがいるような気持ちになりました。私はついつい“戦争”や“ナチス”のような辛い過去を知ることから逃げてしまいます。ですが今回のように“二度と起こってはならない”ことを学ぶ機会が必要で、しっかりと向き合い次世代に語り継いでいけば、ホロコーストで亡くなられた方々とそのご遺族の方々の力になれるのではないかと思います。何万人もの死から聞こえてくる叫びに耳を傾け、それを無駄にしないよう、生きていくべきです。

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