本校の中学生は、中2と中3の間の春休みに、3泊4日の奈良京都学習旅行に行きます。行程は、年により変わりますが、2024年度の中2は奈良公園(大仏殿や興福寺)、法隆寺、平等院、萬福寺、清水寺、東寺を全員で見学し、3日目に班別自主研修を行うことになりました。
この学習旅行では、名所旧跡を訪ねて奈良と京都の歴史や文化に対する理解を深めることはもちろんのこと、事前学習・体験学習・事後学習を通して、調べる力や発表する力を養うことも大きな目的としています。そのため、中2の2学期から約半年かけて少しずつ事前学習を進め、春休みに旅行本番を迎え、中3の1学期に総仕上げとなる事後学習を行います。
この長期にわたる学習のキックオフとして、2024年9月にはるばる京都から京都学講師の先生をお招きし、本校で講演会を開催しました。ただでさえ楽しみな学習旅行ですが、心地よい京ことばで次々と繰り出されるおもしろい京都話と美しい写真の数々に、生徒も教員もみな釘付け。あっという間の1時間で、旅行への期待やワクワク感を、最高に高めてくださいました。
10月には、本ブログでも紹介した世界遺産講演会があり、奈良と京都が持つ価値について世界遺産という観点から学び、実際に足を運び実物を見ることがますます楽しみになりました。
2025年1月には、校内で能楽ワークショップを開催。600年を超える長い歴史の中で守られ受け継がれてきた能楽についての学びを通して無形文化遺産としての価値を肌身で感じ、伝統を後世に受け継いでいくことの意義を学びました。
このような外部講師の先生方によるご指導の他に、班別自主研修の準備も、週1回のロングホームルーム内で少しずつ進めていきました。
自主研修は「お茶と宇治」「寺社」「伝統工芸」「京町屋」の4つのコースを用意。生徒は4つのコースについて各自の興味を掘り下げていき、自分が取り組んでみたいものを1つに絞り込みました。その中で互いに同じ興味を持つ5名前後のグループを作り、いよいよ自主研修の話し合いです。今回の自主研修は探究学習を強く意識し、次の工程で事前学習を進めました。
生徒は意見を出し合いイメージマップやKWLチャートなどのシンキングツールも用いながら自分たちの興味の方向性を定め、図書情報センターの資料、iPadやPCなどを使って様々な観点から訪問先を絞り込んでいきました。
一般公開されている施設を訪問するだけではなく、現地でのガイドをお願いするために電話で問い合わせをした班。利き茶体験や京ローソクの絵付け体験などの有料体験施設を訪問して体験と同時に探究テーマについての質問をすることを計画した班。京町屋を活用したギャラリーや企業を訪問してお話を伺いたいと、何か所にも問い合わせをした班。お茶について詳しく知るならと農協に問い合わせをし、特別に見学させていただくお約束をした班。生徒たちの熱意とリサーチ力、行動力に、教員はとても驚かされました。
昼食場所も、例えば京町屋コースであれば町屋を活用したカフェ、お茶コースは茶そば、新選組ゆかりの地・壬生にある珈琲店、伏見の「すずめ」が食べられるお店など、自分たちの興味に合わせて選んでいました。お店に電話をかけて予約をすること自体も大きな学びになり、電話をかけることに慣れていない中学生は皆で知恵を出し合い台本を考えたりもしていました。
お忙しい中、生徒の問い合わせにご対応くださった各施設やお店の皆様には深く感謝しております。
さらに、ここまでの事前学習のまとめとして、中間発表ポスターを各班1枚作成。保護者にも見ていただき、学年ラウンジに掲示して自主研修の内容を互いに知る機会を作りました。
苦労して出来上がった行程表は、どの班もとても興味深く、私たち教員も行ってみたくなるような魅力的なコースばかり。班別自主研修当日を迎えるのが楽しみで仕方ありませんでした。当日は、想定していなかった様々なトラブルがあると思いますが、生徒たちはどのように対応するのでしょうか。