2024年度

Z世代の平和を考える――ガザ危機が突きつける問い(聖母月行事)

投稿日2024/7/16

聖母マリアを讃える晃華学園では、講演者をお招きして、平和やいのちの大切さを考える機会を持ちます。今年度は、本校の卒業生でもある三牧聖子さん(同志社大学大学院でアメリカ政治外交史、平和研究に携わる。)に「Z世代の平和を考える――ガザ危機が突きつける問い」というテーマでお話をうかがいました。

 2023年10月7日にハマスのテロ攻撃に始まったガザ危機は、その後イスラエルの報復により、36,000人を越える人々が命を落とすという惨状に至っています。そのうち15,000人もの子供が犠牲になっているという事実に、多くの生徒たちは大きな衝撃を受けました。1948年5月14日は、イスラエル建国であると同時に、パレスチナにとってはナクバ(大惨事)の始まりであった、など複雑な中東問題の歴史を分かりやすく説明しながら、国連をはじめ世界各国が停戦に向けて、どのような立場をとっているかを丁寧に伝えてくださいました。アパルトヘイトを経験した南アでは、「我々の自由は、パレスチナ人の自由なくして不完全」というネルソン・マンデラの精神を継承し、国際司法裁判所へ訴えを起こしており、アメリカでは世代間でイスラエル、パレスチナの支持率が異なることをデータや動画を紹介しながら、力強く訴えておられました。特に、最前線の情報を挙げて、ガザへ連帯を示すアメリカのZ世代の勇気ある行動、民主主義を守る大切さを熱く語ってくださいました。

多くの生徒が「平和を実現するために、自分たちができること」について真剣に受け止めて、振り返りの用紙にはメモがびっしり書き込まれています。講演後は、活発な質疑応答が続きました。晃華学園の「ノーブレス・オブリージュ」の精神が、卒業生から在校生へ大切なバトンとして受け渡された貴重な機会となりました。

晃華学園では、こうした行事の後に「ふりかえり」として自分の考えを用紙に書き言葉にします。以下、生徒のふりかえりです。

・ガザで起きている戦争がどれだけ大きいものなのか、どれだけの人の命をうばっているのかなどのことが分かりました。三牧さんが自分と同じ晃華生だったのかと疑ってしまうほど説明が分かりやすかったです。

・イスラエルの「ハマスの戦闘員がそこに含まれていれば、大勢の市民が殺されても正しい」という論理のように、自分を正当化する理論を作り上げることは、自分もやってしまいそうなので気をつけたい。また国の方針や、空気感により流されたり、飲み込まれたりしやすいかもしれないが、客観的な見方ができるようになりたい。国際司法裁判所の所長の「自分が殺されても正義を貫く」という言葉が印象に残りました。私はこの出来事について忘れないでいたいです。残酷さを忘れなければ、戦争に反対する気持ちを持ち続けることができます。

・今の私と同世代の若者が、反対運動に参加していることを知り、今後の世界は私たちZ世代世代に委ねられていることを少しずつ実感することが出来たような気がした。

※質疑応答で紹介された書籍

  • 岡真理『ガザとは何かーーパレスチナを知るための緊急講義』(2023年、大和書房)
  • 内藤正典、三牧聖子『自壊する欧米――ガザ危機が問うダブルスタンダード』(2024年、集英社新書)
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