2021年度

高2現代文 ジェンダー平等の実現に向けて――パネル・ディスカッションの実践

投稿日2022/3/26

3学期の授業では、小論文の課題(→複数のグラフを使って、「働く女性の置かれている状況」について意見を書く、日経新聞の記事による大学入試問題など)を手がかりにして、「女性の仕事と育児の両立支援について」というテーマで「パネル・ディスカッション」を行いました。 

夏目漱石「こころ」を読んだ時に、作品中に女性(「奥さん」や「お嬢さん」の声が間接的、類型的に描かれている、など)の存在感が薄いことへの疑念が寄せられたり、現代でも日本のジェンダーギャップ指数が120位(「内閣府男女共同参画局」2021年)と、先進国の中でも低いことが指摘されたりしていました。 

はたして日本の近代化の過程で、女性の地位は向上したのか。男女の役割は平等、対等になったのか。女性が仕事と育児(※2広くは介護、看護などの「ケア労働」も想定されます。)を両立するために必要な支援はどのようなものか。将来自分が社会人になった時を想定して、「配偶者の協力」、「国や自治体の政策」、「企業の制度設計」、「世論の形成」の4つの立場から討論を行いました 

「世論の形成」に関しては、本校の卒業生でもあり、東京大学の上野千鶴子ゼミ出身者で、ジャーナリストとして活躍している中村かさね氏※1について紹介しました。上野氏を交えて、ゼミ出身者によるオンラインによる話し合いの一部も参考にして、#me too運動の動向やジャーナリズムからのアプローチについても考える機会となりました 

発表が始まると、司会の進行に従って、パネラーたちの主張が繰り広げられました。実際の企業の取り組み(男性の育休制度を取りやすくする、など)やサポートする従業員の満足度への考慮、保育士の待遇改善、ケア労働を可視化したり、配偶者をほめてやる気を引き出したりするなど、複合的な視野からユニークな意見が出され、授業時間では足りないくらい、質疑応答も活発に行われました。4つの立場は、すべて必要な支援であり、相互に関連し合うことにも気づきました。 

コロナ禍では、女性の労働環境が圧迫されたという点が指摘されます。高校生なりに、「ジェンダー平等」について当事者意識をもって考えており、女性が生きやすい社会を作ろうとする若々しい意気込みを感じました。 

参考文献: 

※1 小川公代『ケアの倫理とエンパワメント』(2021年8月、講談社) 

※2 上野ゼミ卒業生チーム『情報生産者になってみた-上野千鶴子に極意を学ぶ-』(2021年12月、ちくま新書) 

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