2020年春、新型コロナウイルスが蔓延し、全国一斉休校の中で、多摩川のほとりで無料の本の交換会が始まりました。
発起人は調布市の中学生、図書館も書店も閉まって、皆困っているだろうな・・・という気持ちからスタートした活動は、「Book Swap Japan」として反響を呼び、様々なマスコミで取り上げられるようになりました。
多摩川沿いの木陰に本を並べる主催者のサラさんに初めて会ったのは、太陽がまぶしい真夏の日曜日、明るい笑顔で迎えてくれたのがとても印象的でした。かたわらにはアコーディオンの演奏をする人、紙芝居をする人がいて、ご家族や常連の人たちが本を手に取り、散歩で通りがかった人々が立ち寄っていきます。本を通して憩いの場所となっていることが伝わってきました。
中学生がコロナ禍で工夫をしながら新たな挑戦をしていることに共感し、晃華学園のSDGsの活動を思い出しました。多摩川のほとりで交流を持ちたいけれど、通常のクラブ活動さえ制限されている中、大勢で押しかけることはできず、紆余曲折を経て、学校で本を集めて送る案にたどり着きました。
まず中1のLHRで呼びかけ、参加者を募ったところ、10名が参加表明。中1の教室前、絵本を並べているコーナーで、昼休みや放課後に本を集めることにしました。子供の頃に読んでいた懐かしい絵本、小学生が好きそうな物語などが集まってきました。様々な生徒が立ち寄り、楽しそうに本を手に取る様子はとても活気があり、本に親しみながら育ってきた様子が感じられました。
本が増え続け、段ボール大小3箱、1か月あまりで85冊になったところで、無事に送り届けることができました。生徒たちのメッセージをアドヴェントのクリスマスカードに添えて。その一部を紹介します。
「私も本が大好きです。だからこそサラさんの活動に微力ですが、参加でき、すごくうれしいです。」
「考えを行動に起こすのは難しいのに、それができたサラさんは、とてもすごいと思います!」
活動の輪は同世代にも確実に広がっています。調布市内の身近なところで、本を通じて中学生が交流を持てたこと、コロナ禍の厳しい状況だからこそ、この出会いに恵まれたことを奇跡のように感じています。これからも、校内では学年を越えて呼びかけを行い、本を集めることを続けていきます。そしていつかサラさんに会いたいね!と生徒たちと話しています。
Book Swap Japanの活動は、雑誌やEテレなど各種メディアで取り上げられています。
HPはこちらをご参照ください。興味のある方はぜひご参加ください。