現中学1年生は、高校入学時に指導要領が改訂され、「探究」という言葉がつく授業を多く受ける予定となっている学年です。
これまでも晃華学園では、中学卒業論文という形で探究活動を実践してきました。この学年では、それをさらに深化させ、より主体的・対話的な実践にしていくために、さまざまなことに取り組んでいます。
入学後の5月、LHRの時間を用いて神代植物公園散策を行いました。班ごとに公園内を散策し、必要な情報・写真をiPadやノートなどを片手に収集し、「見どころポスター」を作成しました。
ポスターには必ず“新たな発見”を載せることとなっていたため、皆は懸命に植物公園内を回っていました。ポスター作りの際も、お互いにコミュニケーションを取り合い、適切に分担して作成していたように感じられます。
また別のLHRでは「担任企画」と題して、各クラス担任がそれぞれ自由に企画を立て、通常の授業ではなかなか伝えられないような何かを中学1年生に伝えるという取り組みを行いました。自分の教科と絡めた内容にした担任もいれば、教科とは全く関係のない内容を扱う担任など、教員によって様々な企画がありました。
この実践を通して、授業で知識を吸収していく以外にも、学びの機会は多く存在し、学問には限りない広がりが存在することを感じたのではないでしょうか。
そして今回、探究活動をさらに深めるため、中学1年生は新たな実践に挑戦しました。その名も『探究』。生徒への意識付けも兼ねた、王道のネーミングです。
『探究』の舞台は多摩動物公園。多摩動物公園に行き、そこで何かしらの研究を行い、自ら冊子にまとめ、Keynoteでプレゼンもしてしまおう!という内容です。
ただし、そこはまだ中学1年生。大掛かりな研究テーマを、自分一人で完璧に設定できるような段階には達していません。そのため今回は、中学1年生担当の教員陣全員が、それぞれ自分の教科に関連する研究課題を生徒向けに設定しました。研究課題は、研究の大まかな方法も含めて生徒に提示し、生徒はその中から興味のある研究課題を選ぶ、という形です。
生徒がどの研究課題にするかは、iPadを用いて集計します。説明をうけた生徒たちは、どれにするか迷いながらも、どこかウキウキしている様子でした。
研究は個人で行いますが、実地調査は班での行動としました。班は、同じ研究課題を選んだ人同士で組まれます。人によって収集したい情報は様々。ですが、行動は班で行わなくてはなりません。実地調査当日までに、入念に打ち合わせを行い、下調べも行い、行動計画を立てていきます。
いよいよ実地調査。事前に用意した資料・行動計画・動物園の地図・一人1台のiPad・昼食のお弁当など、必要に応じてカバンからあれこれと出し入れしながら、情報収集をしていきます。
当日の多摩動物公園には、多くの小学生や幼稚園生の姿が。動物園を純粋に満喫している姿と比べて、中学1年生は自分なりの視点で動物園を観察しています。これまで気付くことのなかった新しい何かに気付いた生徒が多かったのではないでしょうか。
実地調査を終えたら、調査レポートの作成です。それぞれの研究課題に沿って、収集した情報をまとめ、さらなる考察へ広げます。必要に応じて、iPadで撮影した写真や、図・絵などを活用しつつまとめていきます。
実は、この調査レポートの作成に、当初の想定よりも多くの時間がかかりました。というのも、中学1年生の生徒達が行っている研究が、教員の予想を超えたかなり深い内容になっていたためです。調査レポートの用紙も足らなくなり、追加の用紙を欲しがる生徒が多くいました。
調査レポートを作り終え、一通り研究課題に取り組んだところで、今度はプレゼンの準備です。
自分はどんな研究課題を選んだか、そしてどのように研究を行ったか、どんな学びを得て、どんな疑問点が新たに見つかったか… 他者に順序だてて伝えることを通して、研究で得たものをより対話的・協同的なものとし、深い学びへとつなげます。
プレゼンテーションには、Keynoteを活用します。中学3年生の先輩方の卒論中間発表を思い出しつつ、中1にとっては初めてとなるiPadでのプレゼンテーションに向け、入念に準備をしていきます。
そして11月30日(土)、クラス内プレゼンテーションが行われました。それぞれが設定した研究テーマに沿って、工夫のある興味深い発表をしていきます。
はじめは5~6人にわかれてのグループ内発表。自分がプレゼンテーションを行うだけでなく、ルーブリックを用いた友人のプレゼンテーションの評価も行います。4分という限られた時間の中で、どんな研究結果が得られたかを一生懸命発表していました。
各グループ内での発表の後、それぞれ代表者を1名ずつ選出して、クラス全員の前での発表を行いました。
写真や動画を駆使するだけでなく、身振り手振りを交えての発表に、見ている生徒からは「おお~」「すごーい!」という声も。大人の目から見ても素晴らしいプレゼンテーションばかりでした。
プレゼンテーションの後は、iPadで投票を行い、各クラスの代表が選ばれました。代表に選ばれた生徒は、1月のLHRで学年全員の前で発表を行う予定です。