11月10日(土)のLHRで、進路指導の一環として「学部・学科を学ぶ時間」を行いました。4人の卒業生(大学3年生)に声をかけ、次の①~④について、パワーポイントや写真を使いながら、各自20分程度で、高校1年生が進路について前向きな気持ちになることができるような話をしてほしいと頼みました。
①自分が通っている大学・学部・学科の紹介(特徴、教育設備・環境等)
②自分が受けている(受けた)授業内容の紹介
③自分の大学でのキャンパスライフ
④その他
4人の卒業生は、「後輩のために協力できるのであれば、是非話をしたい」と快く引き受けてくれました。4人の卒業生の学部は、「Aさん(薬学部)」、「Bさん(医学部)」、「Cさん(理工学部)」、「Dさん(法学部)」でした。
卒業生の皆さんは、次のような話をしてくれました。一部を紹介します。
〈1〉自己紹介
中高で所属していた部活動などの説明、進路選択で悩んだ頃の話、今の学部に決めた理由などについて話をしてくれました。それぞれの卒業生は、高校生の時に「いろいろ悩み」ました。悩みながらも「前向きな気持ち」で進路を選択したのです。皆さんも「悩み」ましょう。
〈2〉大学・学部・学科の説明
それぞれが通っている大学、学部、学科の説明をしてくれました。大学のキャンパスの説明では、大学のHPなどを使いながら、高校1年生がイメージしやすいように工夫して話をしました。大学のキャンパスの「広さ」が少しわかったと思います。「専門の設備」についても少々話をしました。「○○棟」、「○○号館」、「○○センター」、「学生会館」等と名前を付けられた建物や設備の説明を受けながら、高1の生徒たちは、これから進んでいこうとしている世界の「実際の姿や様子」の一部を学びました。
卒業生は、それぞれの学部について説明してくれましたが、ここでは、理工学部の説明を紹介します。
「基幹理工学部」⇒ 数学・情報系に特化した理・工学部融合
*数学科、応用理数学科、情報理工学科など
「創造理工学部」⇒ ものづくりに特化した工学部
*建築学科、総合機械工学科、環境資源工学科など
「先進理工学部」⇒ 物理、生物、化学の最先端を研究する理学部
*物理学科、応用物理学科、化学・生命化学科など
同じ理工学部であっても、学科によって扱う内容が大きく違ってくることに気付かされた説明でした。特に理系を志望している生徒は、学部と学科についてしっかりと調べて、理解しておく必要があります。自分が進学する学部・学科では、物理が必要になるのか、生物が必要になるのか、十分に確認しなければならないのです。
〈3〉大学の授業、1日のスケジュール
卒業生は、大1・2で受けた授業、現在受けている授業、1日のスケジュールについて説明してくれました。大学の授業には、大別すると教養科目と専門科目があるのですが、4人の卒業生の授業を比べてみると大きく異なることがわかりました。高1は、大学によって、学部・学科によって、文系の学部と理系の学部によって、「全く違う時間割」となることを知ったのです。特に、理系の学部では、「実習」の授業が存在し、授業に占める割合も多くなることも知りました。
また高1は、「ゼミと呼ばれる授業があるらしい」ということも学びました。法学部に進学した卒業生は、自分の「ゼミ」で、「人権を扱った判例を中心としたディスカッション」をしていること、「ゼミの学生は志望進路も様々であるが、ゼミ員全員で切磋琢磨できる」ことを語ってくれました。現役の大学生だから話すことのできる内容でした。しかし、「ゼミ」と呼ばれる「授業」がどのようなものなのか、高1はまだ「実感」できてはいないようです。もう少し、時間が必要となりそうです。大学のHPや学校案内を自分で読んで調べてみましょう。
〈4〉卒業生のメッセージ
4人の卒業生の皆さんは、自分の話の最後に、自分自身の経験を踏まえて、「メッセージ」を語ってくれました。4人の、後輩に対する熱い思いが込められているメッセージとなっています。
一部を紹介します。
◎大学は、多くの人にとっては最後の学生生活を送る場所。どの大学に行くかによって、その後の人生が大きく変わり得る。
◎大学選びの際には、大学名を最優先してしまいがちだが、実際は興味のある学部を選ぶことも重要。
◎実際にキャンパスを訪れて、どんな学生が通っているのかを見てみるとイメージが湧きやすい。
◎大学は、自分の好きなことの知識を深め、経験を積み、強みを獲得できる場所。
◎大学名や偏差値などにとらわれず、自分の好きなことを学べる大学、学部を選んでください。
◎理系の場合は特に、興味のない学科を選ぶと大変です。
◎“研究室・研究内容”を見ると、どんなことを学んでいるのかわかりやすいです。
〈5〉卒業生の感想
4人の卒業生に、話をした後の感想を聞きました。後輩の皆さんに対する熱い思いが伝わってきます。本当にありがとうございました。
〔1〕今回初めて自分の大学の事をお話して、私自身緊張でうまく話せなかった所も多かったですが、皆さんが熱心に聞いてくれてよかったです。高校1年生の皆さんが少しでも薬学に興味を持ってくれたなら嬉しい限りです。
〔2〕自分が高校一年生の時にも同じようなお話をしてもらったことを思い出して懐かしさを感じると共に、当時私自身が先輩方のお話を聞いて考えたことや感じたことも思い出すことができてとても良い経験になりました。私のお話が少しでも皆さんの参考になっていれば嬉しいです。
〔3〕久しぶりに晃華に行き、先生方や制服、マリアンホールなど、懐かしくもありましたが、晃華での思い出がつい最近のことのように感じました。私は晃華の先生方との出会いがあったからこそ、今の大学・学科に通うことができていると思っています。後輩の皆さんも晃華での人との出会いを大切に、充実した学校生活を送ってもらえたら嬉しいです。
〔4〕今回、先生からこのお話をいただいた時、私が高校1年生の時にお話しに来てくださった先輩方のことを鮮明に思い出し、あの貴重な機会をくださった先輩方や先生方への恩返しとして私にできることがあればと思い、お受けしました。限られた時間の中でどれだけ高校1年生のみなさんの心に届くお話ができたかは心許ないですが、帰り際に質問しに私のところまでいらしてくれた生徒たちの真剣なまなざしを見てとても嬉しく思いました。後輩のみなさんが充実した学園生活を送ることができることを願っています。
〈6〉高1の感想
卒業生の話を聞いた生徒の感想です。
①家に帰って大学をもう一度調べ直してみる。模試の第4、5志望を大学の一覧表から適当に選んでいたのを反省する。特に、行きたい学部からどんな職業に多く就いているのか調べるのは大切なことだと思った。「自分の好きなことを発見し、学びを深め自分の強みを獲得すること」という言葉が心に残った。
②どの先輩もとても充実した大学生活を送っているように見えた。私もそのような大学生活を送るために、ますは直結する科目をしっかり勉強したいと思った。
③皆さんたくさん努力して、よく考えていたから、自分の望んでいた大学や学部に入ることができたのだと思ったので、私もたくさん努力して、日常の生活での学びを大切にしたい。「何かの教科に手を抜く」ということは、これからもしないようにしたい。また、様々な教科を学ぶ上で、教養や考え方を身に付け、視野を広くしていく必要があると思った。
④大学によってカリキュラムも大学生の過ごし方も全然違うことが分かった。自分が行きたい学部を決めているだけでは大学生活を自分の思う通りに過ごせないという危機感を持ったので、大学の比較を行っていきたいと思った。卒業生の方々は皆さん大学に入ってからも立ち止まることなく前に進み続けることができていると思えた。自分も、いつでも前を向いて少しずつでも着実に成長していける人になろうと決心できた。
⑤今回、大学の様々な学部や学科について色々な人の話が聞けたことで、進学に対する意識が変わった。今までは、入試のことや偏差値のことについてばかり気にしていて、大学に入学した後の具体的な大学生活について考えたことがなかったので、とても新鮮だった。
⑥今までは、ただ漠然と有名な大学で自分の好きなことを勉強できたらいいなと考えていた。しかし、今回のお話を聞いて、本当に自分がやりたいことを考えて、好きなことを学べる大学を探すことが大切で、その方が楽しく大学生活を送ることができるという言葉にすごく納得した。今回のお話を聞いて、大学について学べただけではなく、楽しそうな大学生活に憧れを抱き、私も楽しい大学生活を過ごせるように頑張ろうとやる気がでた。
⑦大学に合格することだけで終わりにせず、大学でも学び続ける姿勢を忘れずに、高みを目指していきたい。最終的に進路を決めるのは自分であるが、色々な人や立場からの様々な意見を聞いて学部を決めていきたい。