3月16日。卒業式が無事に執り行われた。
もう、ひと月もしないで入学式が来る。
季節は本当に廻っているのだな、と感じる一日だった。
今年度の卒業生が中学に入学してきた時、私は学年主任として彼女たちを迎えた。
まだ幼い彼女たちと入学前合宿に行き、顔と名前の一致しないクラスメイト達ばかりの不安を何とか取り除いて、無事に生活をスタートさせてあげられたらと考えて様々な活動を行った。
クラス対抗ミニ運動会、バーベキュー、手作り体験。夜の就寝前には、おそらく初めての子が多いであろう、静かなお祈りの時間も持った。
当時合宿が行われた山梨県の湖の近くで撮った最初のクラス写真には、緊張と、ほんの少しほころんだ顔が写っていた。
二年間を共に過ごして、中学修学旅行を最後に私は学年を離れた。その時、学年の生徒全員からの寄せ書きをもらった。
時は流れて、卒業式を迎えた彼女たちは最後のクラス写真を撮っていた。
私はそれを不思議な思いで見ていた。
どの子の顔にも見覚えがあるのに、まったく違うように思える。
大人びた笑顔で笑い合うその姿は、確かに、当たり前だけれど、成長した、と言っていいと思った。
卒業パーティーの最後に、高校三年生の担任団が登壇して、学年主任の最後の話が終わった。
と、その時、一団の生徒たちが急に舞台に上がって、全クラス分の色紙を渡した。
そして感謝の言葉。
「ああ、変わらない。」
自分がもらうよりも何倍もうれしい気がした。
優しいままの君たちがうれしい。
卒業、おめでとう。