2019年度

「私は教科のここが好き!」その③(中学進路通信)

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投稿日2019/6/3

晃華学園では、進路指導の一環として全学年でオリジナルの進路通信を発行しています。

学習に対して前向きに取り組んでもらうため、今年度は中学生の進路通信で『私は教科のここが好き!』というシリーズを企画しました。
これは、教員が自らの担当教科の好きなところを紹介し、学ぶことそのものの楽しさを実体験を交えて紹介することで、楽しんで学習に向かう姿勢の大切さを伝えていこうというコーナーです。

今回は、中学2年生担当の英語科教諭からの寄稿です。


 

「私は英語のここが好き」

私自身、子どもの頃から英語ができていたかというと、答えは”No”です。確かにハーフということもあり、周りの友だちよりは、多少英語を知っていました。そのため自分は「まあまあ英語ができている」くらいに思っていました。

私が英語に自信を持ち始めたのは、中学に入学してからです。学校で英語の授業が始まり、私は内容に驚きました。どれも私が知っていることだったのです。そのため勉強をしなくても、テストはいつも満点でした。「俺って英語超できるじゃん。」と思いはじめた(勘違いしはじめた)私は、まともに英語を勉強することなく、1学期を終えました。

しかし、夏休みに、事件が起こります。
その夏、フィリピンに帰省した私は、親戚と英語で会話をしていました。「自分は流暢な英語スピーカーだ」と思い上がっていた私は、これまでよりも自信を持って会話をしていました。そんなある日、アメリカから来た一人のいとこと初めて話をしました。彼女と対等に会話をしていた、と思っていた私は、彼女の言葉に衝撃を受けました。

“Hiroshi, can you speak English?”

なんと、私の英語が全く通じておらず、「ちゃんとした英語を話して。」と面と向かって言われたのです。
そのときの衝撃は今でも忘れません。ショック状態のままフィリピンから帰国し、2学期が始まりました。そして、追打ちをかけるように、英語の成績が下がり始めたのです。

原因は明らかでした。1学期は、小学校のときに学んだ知識で対応できる内容であり、勉強しなくてもわかるものでした。しかし2学期からは、少しずつ難しい内容になり、これまでの勉強法では対応できなかったのです。そのことに気づかず、私は成績を下げ続け、遂には定期テストで8割を切ってしまったのです。

いとこには「ちゃんと英語を話せ」と言われ、学校の成績も下がり、得意だと思っていた「英語」に自信が持てなくなりました。そんなとき、当時英語を担当していた先生と話す機会があり、これまでのことを話しました。すると、先生はこう言ったのです。
「英語は楽しまないと身につかないものだよ。苦手でも下手でもいいから、まずは英語を楽しんで勉強してみなさい。」
英語の学習は、「楽しい」といった前向きな気持ちなしでは身につかないと気づいた瞬間でした。

その後、私は、第一に英語が楽しいと思えるよう意識しました。覚える必要のない教科書の文も、かっこいいと思えば暗記しましたし、「なんだか面白そう」と思った洋書は、理解できなくても手に取りました。学校の宿題も何度も間違えました。しかし間違えるたびに、「この文法や表現をものにすれば、また一歩英語力が上がるぞ。」と自分に言い聞かせながら、繰り返し解きなおし、音読しました。
どんな英語学習も、不思議と苦ではありませんでした。楽しんで勉強すれば、いつかは身につくと信じていたからです。

当時の勉強法が、効率のいいものであったとは思いません。きっと、もっといい方法があったでしょう。しかし、前向きに、楽しんで勉強した結果、成績は再び上がり、少しずつですが、会話のほうも上達していきました。

英語の勉強方法はたくさんあり、一人一人に合ったやり方で学習・習得することができます。しかし、どんな方法で勉強しようと、「楽しむ」という気持ちがなければ、本当に意味で英語は身に付きません。逆に、決して効率的な勉強法でなくても、「英語」という言葉を楽しんでいる人は、いつかきっと英語をものにするでしょう。
教科や受験科目である以前に、英語は「言葉」なのです。大切なのは、「学習方法」よりも「身につけたい、楽しみたい」という気持ちです。そこが英語の魅力だと思います。

 

その①はこちら

その②はこちら

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