今週は聖週間と言って、カトリック教会が1年でもっとも大切にしている一週間です。イエス・キリストの苦しみと十字架の死、そして復活を想い起こして記念するものです。今日の日没後から全世界でキリストの復活を祝うミサが行われます。11月に訪日予定の教皇フランシスコによるヴァチカンでのミサも、ネットで中継されることになっています。
ところで、ミサの最中に音が鳴るものが二つありますが覚えていますか?ミサの中心部分で、神父様のそばに控えている侍者と呼ばれる人が鳴らす小さな鐘と、聖歌の伴奏に使われるパイプオルガンです。どちらも中世から教会の中で響く伝統の音です。私たちは来週聖イグナチオ教会でイースターのミサに参加しますが、そこの2階にもパイプオルガンがあります。オルガンは9世紀頃から教会での使用が認められてきました。パイプオルガンは、その音色が儀式に輝きを添え、心を神と天上のものへ高める伝統的楽器として大切にされているのです。
フランシスコ・ザビエルが日本にキリスト教を伝えたのは、1549年でした。1600年には竹製のパイプを持ったオルガンが日本で製作されたとの記録が残っています。鎖国を経てカトリックの宣教師が再び日本に来たのは1859年。各地に教会が建てられ、パイプオルガンも設置されるようになっていきました。
聖イグナチオ教会の楽器は、ドイツのJehmlich社によって製作されたものです。バッハにもゆかりの深いドレスデンという町で一度組みたてられ、船で東京に運ばれ再度数ヶ月かけて組み立ててられました。49の音色を持ち、手の鍵盤が3段と足の鍵盤がついています。パイプは木製や金属製、リードのついたものなど全部で3146本あり、時間をかけて調整された後美しい音色を出すことがきるようになります。バッハの時代は、音を出すために風を送る専門の人手が必要でしたが、現在はモーターで風を送っています。設置されて今年でちょうど20年を迎え、5月6日には教会所属のオルガニストによる、記念の演奏会も行われます。また、毎月第4週の日曜日には教会見学会を行っていて、オルガンを近くで見学することもできます。
イースター行事では、楽器の音色にも耳を傾けてみて下さい。高校2年生と3年生によるアカペラの歌声と聖歌隊による詩編唱、そしてオルガンが支える全員の歌声を天に届くようなすばらしいものにしたいですね。