先日高校2年生の合唱コンクール実行委員長、副委員長が決まりました。もうすぐ合唱コンクールの季節がやってきます。合唱には皆と歌う楽しさや喜びがあるのと同時に、皆と歌うからこその難しさもあります。クラスの中には歌うのが好きで、やる気満々の子もいれば、歌うのが苦手、合唱に興味がないという子もいます。この温度差をいかに乗り越え、クラスが1つにまとまっていけるかが最大の課題でしょう。
昔、私が担任をした中学1年生のクラスでこんなことがありました。コンクールまであと数日という間際の時期になっても皆の気持ちがばらばらで、頑なに練習に来ない生徒もいる状況に、悩んだ指揮者や委員の生徒達が、私のところに来て言いました。「先生、模造紙をください。」一体何をするのだろうと思いながら紙を渡すと、彼女達は教室にもどり、紙にクラス全員のニックネームを書き込み始めました。それを見た周りの生徒からも「○○ちゃんもいるよ」「△△も忘れないで」と声がかかります。自分の名前が書き込まれるのを、誰もが笑顔で見ていました。全員書き上げると「皆がいるからこのクラスなんだよ、皆で頑張ろうよ」と呼びかけたのです。私はこれを見て、本当にすごいなと感心してしまいました。大抵このような場面では、委員側が一生懸命であるがゆえに練習に来ない生徒を責めて、益々険悪な雰囲気になってしまう……ということが起こりがちです。しかし彼女達は素朴な方法で、一人一人がクラスにとってかけがえのない存在であることを伝え、上手にクラスの空気を変えてみせたのでした。
さて、今年の合唱コンクールでも、各クラスでまた様々なドラマが起こることでしょう。そのクラスなりの方法で試練を乗り越え、全員がまとまって曲を作り上げる一体感を是非味わって欲しいと思います。