2013年度

2013年度 中学校入学式 学校長式辞

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投稿日2013/4/8

 枝いっぱいに美しい花を咲かせ、春の喜びを運んでくれた桜の花は、すっかり散ってしまいましたが、替わって目の覚めるような美しい新緑の季節になりました。自然界に新しい命が躍動する春、これから始まる中学校生活への夢と希望に胸を膨らませて、この入学式に臨んでおられる152名の新入生の皆様、またご臨席の保護者の皆様、ご入学おめでとうございます。在校生も私たち教職員も皆、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 皆さんは、今日の入学式を前に、富士五湖の一つ、標高900メートルの西湖の湖畔で2泊3日のオリエンテーション合宿をいたしました。お互いに相手の名前も顔も殆んど知らない人たちと3日間も家を離れて、合宿するというのは、ちょっと不安で気の重いものではなかったかと想像するのですが、一人ひとりが合宿の目的と意味をよく理解して、協力し頑張ってくださったお蔭でとてもよい合宿が出来たと、引率の先生方から報告をいただき、うれしく思っています。これから始まる中学校生活の準備はしっかりと出来ていますので、胸を張って明日からの授業やHRの活動に全力で取り組んでください。

 中学高校時代は、子どもから大人へと、心も体も目覚しい成長を遂げるエネルギーに満ち溢れている時期です。人間の一生の中でも最も伸び盛りの時期といえますが、そういう大事な時期にさしかかろうとしている皆さんに、是非、有意義な中高6年間を過ごしてもらいたいと思い、二つのことをお話いたします。

 1.皆さんが小学生から中学生になった、つまり児童から生徒になったということの意味についてです。先ほど申しましたように、中学生になるということは、子どもから大人になる入り口にさしかかっている、愈々、大人に向けての第一歩を踏み出すということですが、しっかりした大人になるためには、今日から、心がけていただきたいことが幾つかあります。

 先ず自分の行動に責任を持つこと、学習、行事、部活など仲間や先輩たちと学校生活を共にしていく中で、人とは違う自分の個性(自分のよさ)を発見し、伸ばすこと、そのために苦しさに耐えて頑張ること、そうやって真の自分になっていくことです。それが自分を確立し、自立するということです。

 では大人であることの基本である自立の体制をどのように整えていったらよいのでしょうか。それにはこれをしなさい、次はあれをしなさい、という風に何から何まで、人から指示され、命令されて動くのではなく、今、しなければならないことは何か、今日中にしておかなければならないことは何か、自分でよく考えて、先の見通しをもって生活することが大切です。朝、お母さんに起こしてもらっている人は、明日からは自分で目覚ましをかけて、学校に遅刻しないように起きるという訓練から始めてください。それが自立への第一歩です。

 学習についても、小学校では担任が、この週は何をやるか、どこに力を入れるかなどを考えて引っ張ってくれましたが、中学では教科の先生がそれぞれ違い、担任もクラスの生徒の全てを把握することは出来ません。ですから自分の弱いところ、理解が不足しているところはどこか、自分の課題は何かを自分が知っていなければなりませんし、その課題にどう対処するかも自分で考える必要があります。

 よって学習に向かう姿勢も、教えてもらったことだけを覚える、言われたことだけをするという受身の姿勢では不十分です。他人に言われなくても、自分の課題を見つけて自分から学び、自分から調べるという自主的、主体的な学習がこれからは大事になってきます。そして、そういう姿勢で学習に向かっていけば、学ぶことがきっと楽しくなると思います。

 学ぼうとする意志があれば、どんな人からも、どんな事柄からも学ぶことが出来ますが、手元において必要な時にいつでも利用できるという点で大きな助けになるのは矢張り書物です。晃華学園には図書情報センターという素晴らしい図書館がありますが、ここを一番利用しやすい恵まれた場所にあるのが中1のHR教室です。どうぞ本をあなたの学習の友、よろず相談相手として大いに活用してください。

 本は自分の知らない世界や自分の経験し得ない様々な事柄、そして色々な人の生き方に私たちを導き、私たちの視野を広げ、考えを深めてくれます。本を読む習慣がつけば、生涯、自分なりに学び続けることも出来ます。若いうちに沢山のよい本と出会い、心を耕し、深め、豊かにしていってください。

 2.次に大人であることのもう一つの基本について考えてみたいと思います。それは他者に対する優しさ、思いやりの心です。

 自立とか自分の生活や学習に責任を持つというのは、自分を甘やかさず、自分で自分を律することですから、自分に対して厳しさを要求するものです。しかし自分に厳しいが、人にも厳しいというのは、未だ大人になりきっていない人でしょう。大人であるというのは、他人は必ずしも自分と同じ考え方、感じ方をするのではないことを認め、お互いの違いを受け入れることが出来るということです。

 人は一人では生きていかれません。色々なタイプの人と交わり、支えられ、助けられて始めて生きていくことができます。自分がここまで成長してこられたのも、こうして毎日学校に通って勉強できるのも、ご両親はもとより、この社会を支えている多くの人々の様々な働きのお蔭ですし、更に言えば大自然の力と恵みにも支えられて生きております。そして、そのもっと奥に働く目に見えない大きな力、キリストが父と呼んだ全ての存在と命の源である方によって生かされています。

 先ほど聖書の一節が朗読されましたが、キリストは、空の鳥や野の花が、置かれた場所、与えられた条件の中で、今日という日を懸命に、そして思い煩うことなく無心に生きているように、あなた方も様々な心配や将来への不安、思い煩いを神様に委ねて、今日、この瞬間、与えられている力を尽くし、知恵を尽くして、目の前の課題と仕事に全力で取り組むようにと教えられました。

 また自分のことは自分でやらなければなりませんが、同時に多くの人々の世話になって生きているのですから、自分も周囲の人たちのために、自分に出来ることを何かやっていくことが大切で、お互いに支え合い、助け合って生きていくことを、父である神様はお望みである、とキリストは教えられました。

 自立し自分の行動に責任が取れること、人に対しては優しさと思いやりの心で接すること、この二つが大人であることの基本であると申しましたが、神様の特別の導きで皆さんは、子どもから大人になっていく人間形成の大事な時期を、この晃華学園で過ごすことになりました。今日、一緒に入学式を迎えた152名の仲間と共に助け合い、励ましあいながら、自分も周りの人をも幸せに出来る人に成長していってください。

 明日からの皆さんの中学校生活の上に、神様の豊かな祝福と聖母マリア様のご保護がいつもありますようにお祈りし、話を終わります。

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