
2025年9月。晃華学園中学校高等学校に、アイスの自動販売機が設置されました。
この裏側には、晃華生の「ひたむきで元気!」な雰囲気を象徴する、素晴らしい物語がありました。
晃華学園には「ひとことBOX」という投書箱があります。この「ひとことBOX」に、夏ごろになると毎年決まって同じ要望が届きます。それは「校内でアイスの販売をしてほしい」というものです。
これまでも、すでに卒業したS.C.(生徒会)の生徒たちは、アイス販売の企画を考えてきました。それは、単に「アイスを食べたいから」ではありません。夏バテ防止や暑さ対策などの様々な意味を、S.C.(生徒会)もアイスに見出していたからです。ですが、その度、実現しませんでした。
なぜでしょう?
それは、ごみの分別や床の汚れなど、乗り越えるべき「壁」が多かったからです。そしてその「壁」はS.C. (生徒会)単体で解決できるものではありませんでした。
転機は2024年12月。教員からの「委員会を横断して、何か新しいことができるのでは?」という提案で、状況は動きました。S.C. (生徒会)、規律委員、美化委員。この3つの委員会がタッグを組みました。
生徒たちはまず、企画書を作りました。そこには、ごみ捨てのルールや、生徒が守るべき行動も盛り込まれていました。作成にかかったのはおよそ3か月。
そして2025年3月、企画書を校長に提出。それから2か月後。生徒たちが校長室に呼ばれました。校長室の雰囲気は、生徒にとっては重苦しく感じられたようです。
彼女たちは悟りました。「これは無理だ」と 。
しかし、校長が笑顔で言いました。

「OK」
「課題解決の道筋を示し、誠実に努力すれば先生たちは背中を押してくれる」。生徒たちは、そう学びました。
アイスの自動販売機の導入の許可を得るまで、企画書を作っていったのは現高校3年生たちでした。
確かに許可は出ましたが、すべきことが沢山ありました。そもそも、アイスのメーカーが決まっていません。さらに、具体的なルールや販売場所を決める必要もありました。
引き継いだ現高校2年生の委員たちが選んだのは、「セブンティーンアイス」でした。
なぜでしょう?

決め手の一つは、江崎グリコ株式会社が行う「アップサイクル」の取り組みです。これは、アイスのプラスチックを箸に変える環境配慮の活動です。
SDGsに関する活動を2016年から行っている晃華学園。「ただ楽しいだけでは終わらない」。ここに、晃華生の誠実さがあります。
導入の最大の「壁」は、「綺麗な校舎が汚れること」でした。そこで生徒たちは、アイスを食べられる時間と場所を限定。さらに動線を明確にするなど、ルールを策定しました。そして、ルールが形骸化しないように、美化委員と規律委員の生徒を当番制で配置するようにしました。
規律委員長は言います。「生徒主体のこの取り組みがうまく進めば、今後につながる」。だからこそ、教員に指示される前に、自分たちでルールを守ることに誠実にこだわったのです。
アイス販売が始まると、自販機には生徒が殺到しました。放課後の生徒ラウンジでは、アイスを食べながら和気あいあいと談笑する生徒たちの姿が!
S.C. (生徒会)副会長は言います。「晃華学園が活気であふれたように思います」。
教員である私たちは、この企画の実現を通じて、晃華生のすばらしさを再認識しました。まず、S.C. (生徒会)、規律委員会、美化委員会という委員同士の「壁」や、任期の「壁」を越え、想いを共有し、連携しながら努力を続けた、粘り強さを高く評価します。
そして、彼女たちが求めたのは、単なる「楽しさ」ではありませんでした。環境問題、校内の美化にも配慮できるように、誠実さをもってルールを主体的に策定し、守り抜く姿。これらの姿は、まさに「人のために人とともに」を目指す晃華生そのものです。

この企画を「元気に!ひたむきに!」実現させた経験。この経験が卒業後の未来において、社会をより良くするためにあらゆる「壁」を越えていく、かけがえのない「原体験」となることを心から期待しています。