2017年度

中学1年生 コラボ授業「”人に優しい食事”を考える」その1

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投稿日2018/3/28

「皆さんにはこれから、“人に優しい食事”を考えてもらいます」

さて、これは何の教科で出された課題でしょうか。
これは地理・家庭科・英語の授業で、生徒に与えられた課題です。

晃華学園では、一つの課題を複数の教科の知識を使って考える「コラボ授業」を行っています。
将来、生徒たちが自分のため・人のために力を発揮しようとする時に、一つの教科の知識だけで良いわけがありません。
生徒たちが、教科の枠にとらわれず、知識を活用し、自分とその周りの人々を幸せにして欲しい。
そんな願いを込めて、晃華学園ではコラボ授業を行っています。

ここでは、「“人に優しい食事”を考える」というコラボ授業を紹介していきます。
このコラボ授業は中学1年生の3学期に、1か月間に渡って実施された授業です。

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まず、地理の授業中に次のような課題が出されます。

2016年4月14日、熊本県を震源とした地震が発生しました。みなさんは、現地に行き被災者を支援しようと考え、炊き出しを行うことになりました。炊き出し用のメニューを、調理実習班で一食分考えて、食材欄から食材を選んで、メニューを作りなさい。さらに、そのメニューについて絵を描きなさい。そして、そのメニュー・食材を選んだ理由を詳細に書きなさい。
※調理実習班とは、家庭科の調理実習のために組まれた5人1組の班。地理の授業でもこの調理実習班で活動を行っていきます。

この時、条件があります。

その1:主食 + 汁物 + デザートの三つを用意すること
その2:“人に優しい”メニューにすること
その3:一食分の予算は370円にすること

ポイントは、“人に優しい”メニューであること。被災者に優しいだけではありません。
どのような“優しさ”があるのか。それは生徒の知識次第です。

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なお、食材欄には、
「鶏肉・熊本・100円(一人分)・肥後のうまか赤鶏(ブランド鶏)」のように、
品名・産地・価格・備考が書かれています。
この食材欄には72種類の食材が書かれています。

この食材欄を見ながら、生徒たちがどのように“優しい食事”を考えていくのか、説明します。
例えば、パンについては48円のものと、85円のものがあります。
とにかく安いメニューを作りたいのであれば、48円のパンを選ぶべきです。
しかし、48円のパンには「2か月以上もつことを保証」という備考があり、
85円のパンには「天然素材使用のため早めにお召し上がりください」という備考があります。

生徒は、北アメリカ州の産業を学ぶ際に、食品添加物や遺伝子組み換えについて学んでいます。
「2か月以上もつことを保証」という48円のパンの備考を見て、授業で学んだことを関連付けて考えられれば、「食品添加物を使っているのでは」と考えて、85円のパンを選ぼうとするでしょう。
このように、産地、価格、備考を見て、食材を比較しながら生徒たちは“優しい食事”を考えます。

この課題の中で見られた、生徒のやりとりを紹介していきます。

生徒A「「虫食いあり」のみかんは使いたくない」
生徒B「農薬を使っていないっていうことだよ」

生徒C「国産であればどれも一緒じゃない?」
生徒D「熊本県産のものを選んだ方が地産地消になるよ」

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このように、農薬や地産地消など、自分の知っている知識を関連させ、友人とともに学び合いながら“人に優しい食事”を考えていきます。

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生徒が記入した作業シート

しかし、これでコラボ授業が終わりなのではありません。
この授業の最後に、教員が「“人に優しい食事”を考えるのはこれが最後ではない。様々な授業が関連するから考え続けて欲しい」と呼び掛けます。
こうして、コラボ授業「“人に優しい食事”を考える」が始まっていきます。

次回は、この課題に家庭科の内容が関連してくる様子を紹介していきます。

関連記事:【中学1年生 コラボ授業「”人に優しい食事”を考える」その2

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