飼っているニワトリが今朝、通算75個目の卵を産みました。ほぼ毎日一つずつ産むので、卵には不自由しない身となりましたが、もとはといえば食用として販売されていた有精卵で、実験材料に過ぎなかった卵を孵化させ、ヒヨコから育てたのです。
ニワトリの卵が孵化してニワトリになる、という事象は至極当たり前のように感じるかもしれません。しかし実際にはどうでしょうか。ニワトリは一生で約500個の卵を産みますが、そのほとんどは食用として消費されていきます。また、温めても必ず孵化するとは限りません。その点、私の飼っているニワトリは(ニワトリの視点で)非常に運が良かったのでしょう。
一般的に卵はたった一つの細胞です。それが2、4、8…と分裂して増え、育ち、個体として発生するのです。初めの一つの細胞がなければ、成長も発生もないのです。
ノーベル賞を受賞した小柴昌俊東大特別栄誉教授の『心に夢のタマゴを持とう』という講演録の中に「自分のこれからの一生の間に、これをやりたい、やり遂げたい、あるいはこれを理解したい、なんかそういう目標になるタマゴを三つか四つ、いつも大事に持っていなさい」という言葉があります。夢の卵を持っているのと持っていないのでは、人生は違ってきます。卵は可能性です。卵はいつ孵るかわかりません。持って歩いていると孵るかもしれない。あるアイテムを使うと孵るのかもしれない。ある情報を得ると孵す方法がわかるのかもしれない。卵を持っていると、きっと人生が面白くなると思いますよ。
〜12月9日発行 図書情報センター便り「OASIS」から〜
(P.N.アクティの保護者)
●12月9日、晃華生まれのニワトリ「アクティ」が里帰りし、期末試験が終わった生徒たちを出迎えました。