私にも皆さんのように中高生の時代がありました。
その頃、自分がいずれお母さんになるなんて考えてもいませんでした。
しかし、時は流れ2人の子を持つ母となりました。
子供は、いろいろなことをします。怒ったり、泣いたり、笑ったり、わめいたり、けがしたり、けんかしたり、優しかったり。
母になるための学校はないので、その時々にオロオロしながらお母さんをしてきました。
「マイッタナー!」という出来事があったときに、心に浮かぶお母さんがいます。
マリア様です。
「あなたはイエスの母になりますよ」と言われたときに、一瞬とまどいながらも、「お言葉通りこの身になりますように」と受け入れた姿。
ゴルゴダの丘で十字架にかけられてゆく息子をしっかり見つめ続け、十字架からおろされた息子をしっかりと抱きしめた姿。
自分の身におきたこと、子供に起きたことから目をそらさず、受け止めた姿に勇気づけられます。
何もしてやれない時は、きちんとみつめていけばいいんだと教えてくれます。
最後に、私が高校時代に出会い、おりにふれ読み続けている詩人、茨木のりこさんの詩を読んで今朝のお話を終わります。
みずうみ
〈だいたいお母さんてものはさ
しいん
としたとこがなくちゃいけないんだ〉
名台詞を聴くものかな!
ふりかえると
お下げとお河童と
二つのランドセルがゆれてゆく
落葉の道
お母さんだけとはかぎらない
人間は誰でも心の底に
しいんと静かな湖をもつべきなのだ
田沢湖のように深く青い湖を
かくし持っているひとは
話すとわかる 二言 三言で
それこそ しいんと落ちついて
容易に増えも減りもしない自分の湖
さらさらと他人の降りてはゆけない魔の湖
教養や学歴とはなんの関係もないらしい
人間の魅力とは
たぶんその湖のあたりから
発する霧だ
早くもそのことに
気づいたらしい
小さな
二人の
娘たち
(T.N.)