2012年度

3月1日の宗教朝礼

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投稿日2013/3/1

最近、読んだ本の一つに、サッカー日本代表の主将、長谷部誠選手が書いた『心を整える』という本があります。その本の中で、特に、心に残ったのが、『マイナス発言は自分を後退させる』という章でした。その章の冒頭の一節を紹介します。

「サッカーというのは、いろいろな要素や人間が複雑に絡み合っているため、ミスを人のせいにしやすいスポーツなのだと思う。チームメイトに走らなかったやつがいたから負けたとか、あいつがドリブルで抜かれたから失点したとか、いくらでも責任を押しつけることができてしまう。特に、監督のせいにするのは簡単だ。『監督は自分のことを分かっていない』などと言うのは、試合に出られない選手の愚痴だ。僕は愚痴を言わないようにしている。愚痴というのは一時的な感情のはけ口になって、ストレス解消になるかも知れないけれど、あまりにも安易な解決策だ。何も生み出さないし、周りで聞いている人の気分も良くない。愚痴で憂さ晴らしをするのは自分の問題点と向き合うことから逃げるのと同じ。ゆえに逆に愚痴を言わないように心がければ、自ずと問題点と向き合えるようになるものだ。」

私たちは、自分の状況が悪いときや不利なときに、どうしても愚痴や陰口を言うことで、ストレスの解消を図ることがあります。でも、長谷部選手が言うように、愚痴や陰口言ったところで、状況が改善することはあまり無いですし、むしろ、周りで聞いている人の気分は悪くなり、次第に周りの人が離れていき、益々、自分の状況を悪くしてしまうこともあります。

一方で、自分の周りから人が離れていかないマジックワードに「ありがとう」という言葉があると思います。愚痴や陰口を聞いていると、あまり良い気分がしないものですが、「ありがとう」と言われて気分が悪くなる人はいませんよね。「ありがとう」という言葉は、周りを明るくし、人間関係を好転させる言葉だと思います。

世界の最高学府、ハーバード大学で人気のあった授業の一つにシャハー博士の『ポジティブ心理学』がありました。2006年度には、在籍している学生の2割にあたる1400名の学生が受講していたようです。この講義の第1回目の授業テーマが、「感謝する」です。講義内容を記した本の中に「感謝する」の授業の紹介として、次のような実験例が書いてあります。

「被験者を2つのグループに分け、1つのグループには『ちょっとしたことでもいいので、毎日、感謝できることを5つ書いてもらう』という実験をしました。被験者は、感謝の対象として両親やローリングストーンズ、朝の目覚めから神様まで、ありとあらゆることをリストに書き込みました。毎日1〜2分、感謝する時間をとったことは思いもかけない効果をもたらしました。感謝できることを考えたグループは、何もしなかったグループに比べて、人生をもっと肯定的に評価できるようになっただけでなく、幸福感が高くなり、ポジティブな気分を味わえるようになりました。つまり、もっと幸せになって、意志が強くなり、エネルギッシュで楽天的になったわけです。また、人に対してももっと優しくできるようになり、手伝いを積極的に申し出るようになりました。最終的に、感謝していた人々はよく眠れるようになり、より運動を多くするようになり、身体的な不調も減ったのです。」

長谷部選手は自分自身の経験から「愚痴」のようなマイナス発言は何の問題解決にも至らないことを指摘しました。そして、シェファー博士は、実験例から「感謝」を記録することが何らかの問題解決につながることを指摘しました。
皆さん、是非、感謝日記を作ってみませんか。些細なことで良いから、今日の「ありがとう」を毎日、記録してみませんか。きっと、徐々に明るい毎日に変わっていくと思います。

最後に『フィリピの信徒への手紙』4章の一部分を読んで、今日の宗教朝礼を終わりにします。
「主において、常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい。あなたがたの広い心が全ての人に知られるようになさい。主はすぐ近くにおられます。どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。」

(おかわり)

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