2012年度

創立50周年記念講演会 学校長挨拶

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投稿日2012/11/1

 今日から11月、秋も深まって参りました。秋はものみなが成熟する時、その実りを恵みとして感謝していただく時です。
 パウロが「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です。ですから、大切なのは、植える者でも水を注ぐ者でもなく、成長させてくださる神です」(1コリ:6,7)と言うように、ものが成長し、成熟して実るのは、人間の努力のみによってもたらされるのではありません。そこに神の大きな力も働いて、わたし達は実りを手にすることが出来るのです。
 1963年4月に開校した晃華学園中学校高等学校は今年、50年目の年を歩んでおります。晃華学園創立記念日の今日、5年前に完成した新校舎メインアリーナに、森一弘司教様をお迎えし、全校生徒、教職員が集まって、こうして中高創立50周年を祝う祝賀行事の陰に、多くの方々のご苦労、ご努力があったこと、そして何よりも神様のご保護と導きがあったことを思い、感謝を新にいたしましょう。
 晃華学園は幼稚園、小学校、中学校、高等学校からなる学園ですが、学園の設立母体となっている汚れなきマリア修道会が日本にやってきたのは、1949年9月21日です。これは、すでに明治20年、近代日本の開花期に渡来し、東京、大阪、長崎で初等中等教育を行い、大きな成功を収めていた男子マリア会の熱心な招聘によるものでした。
当時の日本は、太平洋戦争に破れて国土は荒廃し、経済はどん底の状態で、多数の餓死者が出るほど食べる物も着る物も極度に不足しておりました。そのような物質的貧しさと敗戦による精神的虚脱の中で生きる指針を求めていた日本人に、キリストの愛の福音を伝えたいとの熱意に燃えた二人のスペイン人のシスター(Sr.M.アランザス、Sr.M.イニヤス)が、マリア会の招きに応え、ヨーロッパからはるばる戦いに敗れた極東の国にやって来られたのです。船で大西洋を渡り、日本での活動に備え、英語を学ぶため数ヶ月間アメリカで過ごした後、陸路アメリカ大陸を横断し、また船で太平洋を渡るという大旅行でした。
 「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。」(ヨハネ12:24)というキリストのみことばがありますが、シスター方は本当に、「地に落ちて死ぬことによって、多くの実を結ぶ一粒の麦」になるという覚悟で日本に来られたと思います。
来日された二人のシスターは、早速、マリア会で準備してくださった、当時、神代村と呼ばれていた調布のこの土地でお二人の来日を待って修道生活を始める準備をしていた若い人たちと共同生活を始めました。身振り手振りでお互いの意思を伝え合い、暖房もない寒い冬には足踏み体操で体を温め、食糧難の時代でしたので、雑木林を切り拓いて芋や野菜を植え、鶏や牛を飼いながら、早速、活動を始めています。
 すなわち、来日した翌1950年には、野良仕事の間、子どもを預かってほしいという近隣農家の願いに応じ、暁星学園付属幼稚園としてマリアの園幼稚園(園児70名)を開園、7年後の1957年には小学校も開校してほしいという人々の求めもあって、同じく暁星学園付属として晃華小学校(1クラス35名<男児24名、女児11名>)が開校されました。そして、この時入学した女子児童が中学に進む年、1963年に保護者の強い希望があって、中高も開校されることになりました。
幼稚園、小学校に続いて中高が開校された1963年は、漸く経済の低迷を脱した日本が高度経済成長を始めた時期ですが、カトリック教会においては、第二バチカン公会議(1962〜65年)が教皇ヨハネ23世によって招集されるという、極めて重要な出来事が起こっております。教会が世界の現実から乖離してしまっている現実に心を痛め、人々と苦しみや悲しみ、喜びを共にし、社会と共に歩む教会に刷新したいとの教皇の強い意向でこの公会議は召集されましたが、公会議の進展と共にその精神はカトリック教会内にも次第に広く浸透していきました。産声をあげたばかりの晃華学園中高の在り方にもやはり影響を与えていると思います。
 さて、中高開校時の生徒数は、中高合わせて106名、校長は(ハワイ出身の日系2世のアメリカ人)で小学校長のシスター広中・ラウラ・ハウナニが兼務し、専任教諭は十数名という、本当に小さな学校でした。
 そんな小さな学園に奉職してくださった歴代の校長、教頭、諸先生方の新しい学校づくりにかける情熱と熱心なご指導、学園に在籍した生徒たち個々の弛まぬ努力、卒業生たちの様々な分野での活躍、そして保護者や地域社会の方々の学園に対する変わらぬご支援とご協力のお蔭で学園はここまで成長し、創立50周年を迎えることが出来ました。
特に、学園創立当初より今日まで、お世話になったマリア会の神父様、修道士の先生方、日本の土になる覚悟で、愛する家族と祖国を離れて来日され、今は天国でわたし達のために祈ってくださっているミッショネールのシスター方、その他、数え切れない多くの方々のお世話になったことを思い、そのすべての方々に感謝し、いただいたご恩に報いるために、創立50周年という節目に際し、学園創立に携わった方々の思い、理想を今一度しっかり受け止め、未来に向かって新たな歩みを始めたいと思います。
 只今から、森司教様による創立50周年記念講演「21世紀に生きる女性像」をお聴きしますが、司教様からのメッセージを一人ひとりが心と体でしっかり受け止め、これからの自分の生き方を考える指針にしてください。晃華学園で学んだ皆さんが、女性に託されている使命、役割に目覚めて、21世紀の世界がより人間が大切にされる世界、争いのないより平和な世界になっていくのに貢献してくださること、それが今日まで晃華学園を支え、育ててくださった方々への恩返しであると思います。

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